余談ですがこの鰍沢、江戸時代には「塩」の隠語としても知られていたそうです。甲府盆地の南端である鰍沢は、富士川の舟運で運ばれてきた物資が陸路に積み替えられる場所であり、海から信州へと運ばれる塩の集積地だったのです。
各地にある!鯎川・鮎川
これらの河川名と比べると比較的数が多いのが「鯎川」そして「鮎川」です。それぞれ「うぐいがわ」「あゆかわ」と読みます。
ウグイもアユも全国の河川の下流から上流まで幅広く生息している身近な魚であり、河川名としても一般的な存在であったのは容易に推測ができます。ちなみに現在でこそウグイは取るに足らない魚と思われていますが、かつては食用にしていた地域も多く、食材として重要な存在であったため「ウグイの獲れる川」というのは大事な存在だったと考えられます。

ひとつ不思議なのは、北海道にも鮎川が存在していることです。現在でこそ、海洋温暖化もあって北海道の河川にもアユが生息するようになっていますが、かつては北海道にはほとんど生息していない魚でした。当然北海道の鮎川でアユが獲れる可能性は低く、名前の由来は謎となっているようです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>