“最後の砦”地下水を枯渇させる人類
氷河のない大陸では、失われた水の68%が、人間による地下水の過剰なくみ上げに起因している。 気候変動によって、かつては安定していた降雨パターンが崩壊。人々は最後の頼みの綱として、地下深くに眠る地下水へと手を伸ばしている。しかし、そのくみ上げ速度は、自然に水が補充される速度を遥かに上回っており、世界中で地下水の枯渇が深刻化しているのだ。
例えば、世界のアーモンドの70%を生産するカリフォルニアのセントラル・バレーや、かつては広大な湖だったが今や完全に干上がった中央アジアのアラル海周辺の綿花生産地帯など、大規模農業が行われる乾燥地帯で、この傾向は特に顕著である。
「現在、乾燥地域における陸水貯留量減少の最大の要因は、地下水の過剰なくみ上げです。これは、気温上昇や干ばつといった気候変動の影響を、さらに増幅させています」と研究チームは警告する。
残された道は“節水”のみ
研究チームは、温暖化が進む世界において、地球の地下水供給を守ることが最重要であると訴える。気候変動を食い止める努力が停滞しているとしても、大陸の乾燥化を食い止める努力まで停滞させてはならない、と。
地域、国、そして国際的なレベルで、持続可能な地下水の利用方法を確立すること。それこそが、この貴重な資源を未来の世代のために守る唯一の道なのかもしれない。
参考:ScienceAlert、ほか
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