楽天銀行の東林知隆社長がインタビューに応じ、住宅ローンや不動産担保ローンの融資審査に人工知能(AI)を試験導入する考えを表明した。AIの可能性について、「期待している。いかに早く成長させて活用するかが勝負だ」と強調。顧客の相談にAIが音声で応じる仕組みの開発にも意欲を示した。

 AI審査は既にカードローンの融資の一部で試験導入しており、対象を拡大する。AIによる音声相談システムは試作中。銀行によるAI利用の規制はまだ不明確だが、実用化すれば金融商品や資産運用の提案などで「能動的な対話ができる」と説明した。店舗を持たないインターネット専業銀行の「弱点が解消される」とも指摘した。 

 楽天銀は、通販サイトを中心とする楽天グループの会員を取り込めるのが強み。会員の取引データを基にAIで顧客ごとに最適な商品・サービスを紹介するネット広告事業も手掛けており、「今後かなり伸ばせる」と意気込んだ。

「金利のある世界」の到来で預金獲得競争が激化し、大手銀各行も個人向けデジタル金融サービスを強化している。東林氏は「『楽天経済圏』の商流に絡んだ銀行取引をもっと掘り起こす余地がある」と述べ、グループ内の連携を深めてポイント優遇などで対抗する方針を示した。(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/08/14-00:06)