生物が周囲の環境や他の生物に姿や行動を似せる現象を「擬態」と言う。
以前X上では、街中で目撃された「信じられない擬態」に対し、驚きの声が上がっていたのをご存知だろうか。
■コンビニの窓に異変、その正体は…
今回注目したいのは、Xユーザー・AntRoom 島田拓さんが投稿したポスト。
「コンビニの窓ガラスに、折れた木の枝が付いていました。桜の枝かな?」という、思わず首を傾げてしまう1文が綴られた投稿には、確かに窓ガラスに張り付いた木の枝が確認できる。一体なぜ…と、画像をズームして見て驚き。
なんと、木の枝と思われた物体は、じつは「羽を閉じている昆虫」だったのだ。
■「ズームして鳥肌立った」

頭で理解していても、遠目では「木の枝」にしか見えない光景は瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「ズームして鳥肌立った」「擬態はスゴいけど、場所が悪い」「長い年月をかけているとは言え、どうやったらこんな擬態ができるんだ…」「昆虫の擬態は、本当にすごい」など、驚きの声が続出している。
発見時の様子等について、ポスト投稿主・AntRoom 島田拓さんに話を聞いてみたが、残念ながら回答は得られなかった。
■蛾のプロ「毒性は無い」
当該の昆虫の正体をめぐり、発足から74年の歴史を持つ「日本蛾類学会」に詳しい話を聞いてみることに。
すると、木の枝に擬態した昆虫の正体は「ツマキシャチホコ」という名称の蛾であると判明。
その成虫特徴について、日本蛾類学会の担当者は「前翅頂部の黄色斑紋の中に褐色影があり、前翅胴部に近い黒い線の下方(後縁部)付近に黒い紋がでます」と、説明する。
また、その生態については「年1回、6〜8月に成虫が発生します。幼虫は、クナラ・クヌギ・カシワなどのブナ科植物の葉を食べます」とも説明していた。
見知らぬ生き物を見ると「人間に害はないのか…」と不安に感じる人も少なくないと思うが、ツマキシャチホコに関しては「無毒です」とのコメントも得られているので、安心してほしい。
この時期、不自然な場所で謎の木の枝に遭遇したら、その正体は「生命の神秘」と呼ぶべき存在かもしれない。