夜中に何度も息が止まり、朝起きても疲れが抜けない。そんな「睡眠時無呼吸症候群」は、実は身近な病気です。
これは大きないびきの原因でもあり、日中の強い眠気で仕事や運転に支障が出す要因にもなります。
本格的な治療には専用の機器を使った「持続陽圧呼吸療法(CPAP)」が必要ですが、これは装着感や音が気になって続けられないという声も少なくありません。
ところが最近、インド・ジャイプールにあるエターナル・ハート医療研究センター(Eternal Heart Care Centre and Research Institute)の研究チームが、驚きの代替法を検証しました。彼らはなんと「法螺貝を吹く」ことが呼吸筋トレーニングとなり、睡眠時無呼吸症候群の症状を改善する可能性があるというのです。
この研究の詳細は、2025年8月に科学雑誌『ERJ Open Research』に掲載されました。
目次
- 眠りを邪魔する“静かな病気”と、その意外な改善法
- 法螺貝がもたらした眠りの変化と、その意味
眠りを邪魔する“静かな病気”と、その意外な改善法
イビキがうるさい、日中に眠気が強い、そんな人は「睡眠時無呼吸症候群」という病気の可能性があります。
この病気は、眠っている間にのどの奥がふさがってしまい、呼吸が何度も止まってしまいます。息が止まると血液の酸素が減り、脳が何度も目を覚ますため、熟睡できません。その結果、日中に強い眠気が出たり、集中力が落ちたり、さらには高血圧や心臓病の危険も高まります。
治療としては、就寝中にマスクをつけて空気を送り込み、気道を開いたまま保つ「CPAP療法」がよく使われます。ただこれは効果は高いのですが、気軽に利用できるものではなく、マスクのつけ心地や機械の音が気になって、続けられない人も多いのです。
機材の貸出が必要なため、そもそも軽症や中等度の場合はCPAPが処方されないこともあります。