人とのコミュニケーションができる広義の意味でのプロマネのスキルが必要
企業としては、エンジニアを含めて人材を極力抱えない方向へシフトしていくという。
「円安や諸外国のインフレの影響で、相対的に日本人の人件費が安くなってきつつあるので、オフショア開発など海外の人材に発注するよりは日本人を使ったほうがコミュニケーションギャップも少ないしいいよね、という側面は残るかもしれません。ただ、新たに人材を採用したり外部に発注するよりも、ちょっとスキルが高いシニアクラスの人がAIを使ったほうが高いパフォーマンスを出せるということになれば、やはり企業は採用を控えるということになります。社員の人数を増やせば増やすほどマネジメントは難しくなるので、できるだけ関わる人を増やさないほうがいいというのは企業の原則論としてあるわけです。そう考えていくと、今後も企業が採用を増やし続けていくという状況が続くとは考えにくいです」
では、そうしたなかでも必要とされるエンジニアとは、どのようなタイプなのか。
「単純にプロジェクトの進捗管理だけしているようなプロジェクトマネージャーは需要が減るでしょう。そうした業務はAIツールで置き換えが可能だからです。一方で、人とのコミュニケーションができて、仕事をきちんと前に進めることができて、利益も上げていくというのはAIでは無理なので、そういう広義の意味でのプロマネのスキルを持つエンジニアは必要とされると思います。シニアクラスでも単純に技術しかわからないような人は厳しく、GAFAMでも非常に優秀で業界内では名の知れたようなエンジニアですらレイオフの対象になっている様子です。
逆にコンサルタントであれば、豊富に人との接点を持っていてコミュニケーション能力が高く、顧客から受注を取ってきて社内の多くの人員の仕事を確保し、顧客との関係性を維持してプロジェクトを完了まで持っていけるような営業的な仕事ができるような人は必要とされるでしょう。エンジニアもコーディングしかできませんという人は厳しく、PDM(Product Development Manager:製品開発マネージャー)と会話しながらプロジェクトを推進して利益を生み出せるところまで持っていけるようなエンジニアでないと、生き残っていくのは難しいでしょう」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中野仁/AnityA代表)