NTTデータは12日、鹿島建設と提携してシンガポールでスマートビルディング運用の実証事業を開始したと発表した。鹿島が地域本社兼研究開発拠点としてシンガポールに開設した「The GEAR(ザ・ギア)」を拠点に、10以上の技術を統合、収集したビル関連データを経営指標(KPI)に基づいて分析し、運営効率と持続可能性の向上を図るという。

 NTTデータはネットワーク基盤やIoT(モノのインターネット)プラットフォーム、コンサルティングを提供して建物内の約2000個のセンサーから得られる8700件超のデータを一元管理する。業務自動化や在庫・調達の最適化、遠隔監視、利用者の快適性向上を実現する。エネルギーの監視や知的管理システムも導入して資源効率化によるコスト削減と環境配慮型運営を進める。

 ザ・ギアはシンガポール建築建設庁(BCA)が定める持続可能な不動産認証の最高位「グリーンマーク・プラチナム」の「スーパー・ロー・エナジー(SLE)」認証を取得済みで、導入されたスマートシステムはエネルギー消費削減やライフサイクル管理の高度化を通じ、認証基準の維持に寄与している。サイバーセキュリティー対策も全システムに組み込み、IoT機器やデータ保護を強化した。

 NTTデータ・シンガポールのプン・キムメン最高経営責任者(CEO)は、「現行、将来の需要に応える柔軟な環境を実現した」と強調。ザ・ギアのマネジング・ディレクターであるルーク・ウー氏も、「ビルを革新と持続可能性の『生きた実験室』に変えた」と述べた。【時事】 (記事提供元=時事通信社) (2025/08/15-19:26)