●この記事のポイント ・OpenAI、オープンウェイトAI言語モデル「GPT-oss」をリリース ・無料で使うことができ、「重み」を開示しているため、開発者が自由にカスタマイズして利用可能 ・市場圧力とプライベートAI需要の拡大に対応する動き

 OpenAIは7日(現地時間)、「ChatGPT」向けの新AIモデル「GPT-5」を発表したが、その直前の5日に同社が発表したオープンウェイトAI言語モデル「GPT-oss」が注目されている。無料で使うことができ、出力結果を左右するモデルの仕組みである「重み」を開示しているため、開発者が自由にカスタマイズして利用することができる。ここ数年、OpenAIは新たなモデルをリリースしてもソースを開示しない姿勢を示してきたが、今回、「GPT-2」以来5年ぶりにオープンモデルを発表。その背景は何なのか。また、「GPT-oss」はどのような特徴を持ち、どのような用途に向いているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

オープンウェイトモデルとは何か

 軽量モデルといわれる「GPT-oss」は推論機能を持つリーズニングモデルで、数学やプログラミングなどに優れているという。公開されたモデルは「gpt-oss-120b」と「gpt-oss-20b」の2種類。「120b」は80GBの単一のGPU、米エヌビディアのGPU「H100」1枚で動作し、性能は「OpenAI o4-mini」とほぼ同等。一方、「20b」は性能的には「OpenAI o3-mini」と同程度で、ノートパソコンやスマートフォンなど16GBのGPUを搭載したエッジデバイスでも実行可能な点が大きな特徴。Apache 2.0ライセンスの下でリリースされ、マイクロソフト「Azure」、「AWS」、開発プラットフォーム「Hugging Face」などを通じて無料でダウンロードでき、商用目的での改変も可能。

 ちなみに8日に発表された「GPT-5」は、無料ユーザも使用できるが制限があり、一定量以上を利用する場合は月額20ドルの「ChatGPT Plus」、もしくは「ChatGPT Pro」を契約する必要がある。

 オープンウェイトモデルとは何か。ソフトウェアエンジニアで合同会社Hundreds代表の大塚あみ氏は次のように解説する。

「学習済み重み(weights)を公開し、ダウンロードしてローカル実行・再学習・蒸留・オンプレ運用ができる言語モデルを指します。しばしば“オープンソース”と混同されますが、学習データや学習コードの全面公開までは含みません。今回の gpt-oss は Apache 2.0 ライセンス+利用規約で提供されています。

 近年のオープンウェイトをめぐる潮流としては、米メタ(Llama系)、仏Mistral AI、中国アリババ(Qwen)が牽引し、中国勢(例:DeepSeek)の台頭で一段と加速しました。OpenAIが 2019年のGPT-2以来となるオープンウェイトを再開したのは、この市場圧力とプライベートAI(自社環境で完結させる運用)需要の拡大に対応する動きと見られます」