世界の株式市場が好調です。日経平均は節目となる4万円を超えてからも上昇を続け、一時4万3千円台まで急上昇しました。今後スピード調整することもあるでしょうが、中長期的には5万円に向けて上昇トレンドを継続すると見ています。

日経新聞電子版によれば暗号資産(仮想通貨)の代表であるビットコインも直近で12万4000ドル台まで上昇し、約1カ月ぶりに最高値を更新しています(図表も同紙から)。ビットコイン以外の暗号資産にも資金が流れ込み価格上昇しています。

国内の不動産価格も東京などの都市部では上昇が続いていて、東京23区では1億円以上の予算にしないとファミリー向け物件が購入できない水準となっています。

このように株や暗号資産といったペーパーアセットや不動産のような実物資産の価格が上昇している中で、日本の個人金融資産の50%以上は預貯金に滞留しています。そして個人金融資産の6割は60歳以上の高齢者が保有しています。

統計データは見つかりませんでしたが、恐らく高齢者の方が預貯金の比率が高いと推察できます。

つまり、高齢者の多くは年金と預貯金で資産を構成しており、最近の資産価格の上昇の恩恵を受けていないことと思われます。むしろ、物価上昇によって実質的な資産が目減りしている状況です。

高齢者の中には資産運用を長年続けてきた例外的な人もいますが、その多くは株式の個別銘柄の売買を行っています。上昇相場で恩恵を受けている人もいると思いますが、高齢者の資産運用の方法として過剰なリスクを取っており適切とは言えません。

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そんな日本社会に今最も必要なのが「投資教育」です。将来の日経平均の予想や値上がりする銘柄の当てっこのようなギャンブル(投機)ではなく、リスクとリターンの考え方、投資対象の分散(インデックス投資の有効性)と投資タイミングの分散(ドルコスト平均法の有効性)、金融資産と実物資産の組み合わせ、お金を借りることのメリット(借金に対する考え方)、コストを下げることの重要性など投資に関する基本的な内容です。