謎の正体は「脳のバグ」?ポンゾ錯視という目の錯覚
では、この「マトリックスのバグ」の正体は一体何なのだろうか。専門家によれば、これは「ポンゾ錯視」と呼ばれる有名な目の錯覚だという。イタリアの心理学者マリオ・ポンゾにちなんで名付けられたこの錯視は、人間の脳が遠近感を処理する際の「バグ」のようなものだ。
今回のケースでは、道路のラインや両脇の並木が、奥に行くほど狭まる「収束する線」となっている。私たちの脳は、こうした遠近法の手がかりを見ると、奥にある物体を「実際よりも遠くにある」と認識し、その大きさを無意識に補正しようとする。その結果、遠くにあるときは「遠くにあるのにあんなに大きいのだから、実際は相当巨大だ」と錯覚し、近づいて遠近感の手がかりが変化すると、その補正が解けて「思ったより小さい」と感じてしまうのだ。
つまり、「縮む工場」は現実世界のバグではなく、私たちの脳が作り出した壮大なイリュージョンだったのである。とはいえ、その不思議な体験は今も多くの人を魅了し、この廃工場はオンタリオ州の観光局がPRするほどの人気スポットとなっている。
参考:UNILAD、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。