また、こうした湿地は水を貯え、土壌の湿潤を保ち、地下水の補給にも貢献します。
干ばつや山火事が深刻な問題となる南ヨーロッパにおいて、ビーバーの存在は気候変動に対する自然の盾ともなり得るのです。
しかし、ポルトガルでは15世紀末を最後にビーバーの記録は絶たれました。
乱獲、毛皮・肉・薬用としての利用、そして川辺の開発が彼らを追いやったと考えられています。
以来、ポルトガルの川にはビーバーがいない状態が続き、生態系の一部が欠けたままとなっていました。
ところが最近、500年の空白を埋めるニュースが飛び込んできました。
ポルトガルで500年ぶりにビーバーが復活!今後の対策とは?

2025年6月、環境保護団体「Rewilding Portugal(リワイルディング・ポルトガル)」が、ポルトガル領内でヨーロッパビーバーの存在を確認したと発表しました。
実はビーバーが再びポルトガルに現れたのは、スペイン側からの”分散”によるものでした。
この20年間、スペイン国内ではビーバーの保護と再導入プログラムが進められてきました。
特にドゥエロ川流域の国立公園では個体数が安定し、2023年にはすでに「国境から150メートル圏内」にまで接近していたことが報告されていました。
そしてついに2025年、ポルトガル領内で正式な痕跡とカメラ映像によって、存在が確認されたのです。
スペインで増加したビーバーたちがポルトガルにもやってきたのです。
この発見は、Rewilding Portugalが長年にわたって行ってきた監視活動の成果でもあります。
彼らは以前から「ビーバーが自然に渡ってくるのは時間の問題」と主張しており、地域社会や行政機関に対して共存の準備を呼びかけていました。
