ある生物の保全を行うためには、まずその生物に対して「興味を持ってもらう」ということが非常に大切です。一般市民のウナギへの興味をもっとも喚起するものはウナギの「食べ物としての側面」であり、もし仮にウナギの食用が禁止されてしまうと、ウナギへの興味も失われてしまい、結果として保全活動が進まなくなってしまうのではないか、と論文では指摘されています。

そして「食材としてのウナギ」への興味が最大になるのは、間違いなく土用丑の日です。そのため「ウナギを食べて、ウナギの絶滅を防ごう」という呼びかけがもっとも刺さるのもこの日ということになります。
土用丑が「ウナギ資源を濫用する日」ではなく「ウナギの保全を意識する日」に変わっていくよう、報道の仕方や流通の仕方に変化が起こっていくことが求められています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>