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もはや日本で成長を期待できる産業は限られています。その中でも継続的な伸長が期待できるのが、インバウンドと食品輸出です。特に日本の食品は高品質と安全性で知られ、世界中から高い評価を受けています。繊細な味わいや美しい見た目は他国に真似できず、日本ブランドの強みが凝縮されています。

統計もそれを裏付けています。2024年の食品輸出額は1兆5071億円に達し、12年連続で過去最高を更新しました。円安の後押しもあり、2012年の4497億円から僅か十数年で3倍超に伸びています。これだけ成長した産業は日本に殆ど存在しません。少子高齢化で国内市場が縮小する中、数少ない希望の光です。

特に伸びているのが新興国です。国民の所得が上がると食生活もグレードアップされるものですが、和食はその象徴的なアイコンになっています。かつて日本も経済成長する中で、フレンチやイタ飯ブームが起きました。同様の事象がアジアを筆頭に新興国で起きていて、和食は外食市場を席巻しています。

更にインバウンドも食品輸出に好循環を及ぼしています。訪日客が日本の食文化に感動し、帰国後も和食店に足を運びます。結果日本の食品輸出も増えます。今年の大阪万博の開催も、この流れを一層加速させるでしょう。観光と輸出が相互に刺激し合う構図は、暗い日本経済の中で稀有な明るい材料です。

残念ながら日本が経済で世界をリードする時代は終わりました。それでも文化やコンテンツは世界屈指で、日本の食品にはそれが凝縮されています。この事実に誇りを持ちましょう。

では具体的にどの分野/企業が有望か? この考察は過去のnoteで書いているのでご覧下さい。

「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第51回 日本の食品輸出はどこまで伸びるのか?