顧客満足度の向上が最重要

 営業現場でのAI導入によって、どのような効果が出ているのか。

「今まで見えていなかったものが見えてきた、という部分が非常に大きいと思います。これまでは『営業成績は上がっているけど、理由がいまいちよく分からない』ということもありましたが、その理由がある程度、可視化されるようになりました。弊社が定期的に行っているお客様満足度調査の結果も上昇しています。将来につながるという意味でも、お客様の満足度が上がっているという点が重要だと考えております」

 営業部門では、これ以外でもAIの活用が進んでいるという。

「職員の教育という面では、個々の職員の知識の習熟度みたいなこともデータ化しており、Nラーニングという教育版CDP(データ基盤)を作って、一人ひとりに対して『今、あなたにおすすめの教材はこれですよ』といったレコメンドを行うことで、個別の最適化学習を進めようとしています。そのCDPに会社が職員に提供する教材をすべて入れておけば、職員はそこで提示された自分に最適な教材にアクセスすることができます。

 また、お客様に許諾を得た上でお客様との面談の際の会話を録音して、要約やToDoリストが自動で出てくるような取組の検証も進めています。これまでは営業職員がお客様との面談の内容を口頭で上司に報告したりしていたものが、システム上で一瞬で共有できるようになり、『では次はこういうアクションをとろう』といった検討がしやすくなるといった効果が期待されます。

 このほか、損害保険の自動車保険は基本的に1年更新なので、そのタイミングで他社から弊社に契約を切り替えてもらえる可能性があるのですが、お客様からご提供を受けた他社の保険証券を読み取って『お客様にこういう切り返しの提案をしてみてはどうか』とAIが提案してくれるような仕組みの構築にも挑戦したいと考えております」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)