会社全体としての風土醸成が重要

 将来的には、業務の自動化を目指していきたいという。

「AIエージェントと呼んでいいのかは分かりませんが、例えば『給付金に得意なツール』といったものを業務ごとにつくっていき、オーケストレーションというかたちで、個別のツールを束ねて全部自動処理できるようにするというのが究極的な目標ですが、そこまでには、まだだいぶ距離があり、まずは全部読み込んで検索できるようにするというところから実現したいと考えています。

 今、弊社としては、保険業務の効率化、お客様に新たな付加価値を届けるという意味での顧客体験価値向上、そして新規ビジネスにAIを活用していかなければならないと考えています。一つ目の保険業務の効率化に関しては、コールセンター業務の効率化も大きな目玉です。弊社には個人保険、銀行窓販、団体保険、401kと複数のコールセンターがあり、1カ所で確立させた仕組みを他のコールセンターにも適用できるので、効果が大きい。ですので、現在はさまざまなPoC(概念実証)をしたり、外部のベンダーさんにも相談させていただいているところです。

 効率化の面では、営業現場からの社内照会窓口もあげられます。営業部長から照会を受ける拠点長サポートデスクで昨年PoCを実施したところ、一定の効果が確認できたので、9月末から実装しようと計画しています。一番の大玉は営業職員の活動の高度化でして、結果的にそれが顧客体験価値向上につながるので、さらに高みを目指してやっていきたいと考えています。

 新規ビジネスの領域でいいますと、米スタンフォード大学における疾病予測AIに関する研究に弊社の研究員を2人派遣しており、26年3月末で期間が終了するので、そこでの成果をもとにビジネス化するといったことにもチャレンジしていきます。

 こうした取り組みを進めていくには、会社全体としての風土醸成が重要であり、リテラシー向上のために役員向けのAI勉強会を月1回くらいのペースでやりたいと考えています。そして従業員向けとしては、今年度の下期くらいからモードを変えて『全員AIを活用するのが当然』、というくらいの温度感でやっていければと考えております」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)