日本の社会課題を解決する

 8月5日の会見でLuupの岡井大輝CEOは「現在の主な利用者は20代から50代」「創業時から、若者から高齢者まで、すべての人の移動課題を解決することを目指してきました」と語っていることもあり、Unimo投入は60代以上の高齢者ユーザー獲得のための施策だという見方もある。

「Luupとしては、『ユーザー獲得の施策』というようなマーケティングや事業拡大のための製品やプロジェクトではなく、幅広い世代の方の移動に関する課題や交通空白という日本の社会課題を解決するためにUnimoを開発いたしました。また、前提として、あくまで今回発表させていただいたのはコンセプトモデルであり、今すぐサービスに導入するものではございません」(Luup)

 会見ではシニア男性が登壇して実際にUnimoに乗る様子も披露されたが、気になるのは、その安全性だ。

「ご高齢の方の運転においては、若年層とは異なる傾向やリスクがあるのは当然だと考えているため、今後実証実験や想定利用者の方々の試乗会等を通じて、安全性や利便性等に関するデータを収集し、交通ルール啓発やサポート体制のあり方についても検討を重ね、安全・快適に利用いただけるサービスにしていきたいと考えております」(Luup)

 現時点でUnimoの導入台数の目標や料金プランなどは未定。まずは試乗会などを通じて多くの人にUnimoを体験してもらう機会を設けていく考えだという。

「2026年度中を目途に複数地域で実証実験を行い、シェアリングサービスへの本格導入を目指します。将来的にはできるだけ多くの、移動課題を抱える地域に届けていきたいと考えております」(Luup)

 マーケティング支援会社のプロデューサーはいう。

「Luupとしては現段階では、高齢層にも利用拡大していく可能性を模索し始めたというかたちであり、企業としてより広いユーザ層にリーチしていこうと考えるのは当然です。今後の実証実験などを通じて、実際にUnimoを提供できるかどうかを探っていくのでしょうが、電動キックボードの事故件数は増えているので、かなり慎重に進めていくことになるでしょう。今後Luupがどこまで地方にまで提供エリアを広げていくのかは分からないが、特に地方では電車・バス路線数の削減などで高齢者が移動の足を確保しにくくなっており、移動の選択肢が増えるというのは社会的にメリットがあるといえるでしょう」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)