小森飛絢 写真:Getty Images

 浦和レッズは8月9日に行われた明治安田J1リーグ第25節の横浜FC戦で、FW小森飛絢の2ゴールにより2-1で勝利。ジェフユナイテッド千葉から完全移籍加入した同選手の活躍が反響を呼ぶ一方、ニッパツ三ツ沢球技場のアウェイゴール裏における観客の様子が話題になっている。

 Xでは、スウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンがゴールを決めた小森に対して、大きく飛びながら抱きつく瞬間を捉えた画像が拡散。グスタフソンの跳躍力に注目が集まっているが、ゴール裏最前列で浦和のユニフォームを着用した観客が、カメラ撮影を行う様子も捉えられている。

 ネット上では、試合翌日に撮影行為の是非を問う声が噴出。ゴール裏を90分通じて自身の声で選手を後押しし続ける場所と捉えているサポーターから否定的な意見もあがる一方で、特定の観客を批判するSNS投稿への反対論も湧き起こっている。

 カメラ撮影の可否について、横浜FCが定める試合管理規定の禁止事項には記載されていない。また、Jリーグが定める「Jリーグ公式試合における写真・動画のインターネット上での使用ガイドライン」では、試合中の様子を捉えた写真はSNSへの投稿が認められているが、「他者の迷惑になるような撮影行為又は投稿」「他者の肖像権を侵害する、又は侵害のおそれがある投稿」などは認められていない。すなわち、今回の撮影行為自体は公式ルール上では問題ないと考えられる。

 一方で、Jリーグ公式戦のゴール裏は特別な意味を持つ。主に熱心なサポーターが陣取り、90分間声援や応援歌で選手を鼓舞する応援専用エリアという文化が根付いている。この文化の中では、試合中にカメラ撮影を行う行為は「応援に集中していない」と受け止められ、反発を招く場合がある。

 SNSの普及により、観客が撮影した写真や動画が即座にネット上で共有される時代になった。その結果、ルール上は許される行為でも、文化的には敬遠される、個人の行為が容易に拡散・批判されるなど、摩擦が生まれやすい状況に。今回も、撮影行為を批判する声と、個人攻撃を批判する声が入り混じる構図となった。スタジアムでの楽しみ方が多様化する中、「ルール上OK」かつ「周囲とも調和できる」行動が、今後の観戦マナーの鍵となりそうだ。