長崎スタジアムシティ 写真:Getty Images

 V・ファーレン長崎元監督のファビオ・カリーレ氏は、ブラジル1部サントスとの二重契約問題で、長崎から訴えられている中、イラン1部エステグラルFCを相手取りFIFA(国際サッカー連盟)へ提訴。長崎がサントスから元鹿島アントラーズ所属選手のMFジエゴ・ピトゥカを獲得した裏で、元指揮官が新たな問題を抱えている。

 カリーレ氏とエステグラルFCの問題を巡っては、イラン『タスニム通信』は5月末に「エステグラルがカリーレ氏と150万ドル(約2億1,600万円)の契約締結で合意した」と報道。『フットボール360』は7月1日に「カリーレは6月、エステグラルからメールで送付された契約書類にサインしたが、クラブはサポーターからの反発を受けて招へいを見送った」と伝えている。

 エステグラルの一方的な契約破棄を受けて、カリーレ氏側はすでに正式契約を結んでいるとして、契約書を通じて合意した100万ドル(約1億4,400万円)の支払いを要求。『イラン・インターナショナル』が8月10日に伝えたところによると、同氏は期限内に100万ドルが支払われなかったとして、FIFAへ提訴。これに対して、クラブ側は「契約書類を送付したことは事実だが、契約違反には当たらない」と主張したという。

 カリーレ氏は長崎を去った後、サントスをブラジル2部リーグ優勝に導いたものの、サポーターからの不満の声もあり、2024シーズンをもってサントスの監督を解任。2025シーズンはブラジル1部ヴァスコ・ダ・ガマを率いていたが、4月末に解任されていた。

 また、長崎とサントスの二重契約問題を巡っては、長崎が2024年にFIFAへ提訴したが、FIFAは同年8月に「FIFAでは裁定ができない」と通達。その後、カリーレ氏らの代理人と和解に向けて協議する中で、カリーレ氏から謝罪する意思があると回答があったという。しかし、具体的な謝罪文の提示が期限を過ぎてもなかったほか、最終通知書に対する回答もなかったため、和解協議を打ち切り。2025年3月に東京地裁への提訴準備が完了したことを発表している。