海の“番人”が告げる地球の危機
なぜクジラの沈黙が、これほどまでに重要視されるのか。それは、彼らが海の健康状態を映し出す「番人」だからだ。広大な海を回遊し、生態系の頂点近くに位置する彼らの行動は、海洋環境全体の健全性を示す貴重な指標となる。
海洋生物学者のケリー・ブノワ=バード氏は、「海洋熱波がもたらす影響は、生態系全体に及びます」と警告する。広大な北米の西海岸全域を回遊してもなおクジラが餌を見つけられないという事実は、もはや局所的な問題ではなく、海洋全体を揺るがす大規模な異変が起きている証拠に他ならない、と彼女は指摘しているのだ。
クジラたちの沈黙は、彼ら自身の苦境を物語るだけでなく、気候変動が加速する中で、私たちの海が直面しているより深い危機を浮き彫りにしている。クジラが発する静かな警告に、私たちは今こそ耳を傾けるべきなのかもしれない。
参考:Daily Mail Online、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。