●この記事のポイント ・政府、日本企業によるデータセンターと再生可能エネルギー発電所を組み合わせたビジネスモデルの輸出を支援 ・省エネデータセンターを日本企業のビジネスモデルとして確立し、海外マーケットでも一定のシェアを獲得 ・今年度は欧州マーケットの調査を実施
AIの普及により世界的にデータセンター需要が増大するなか、政府は日本企業によるデータセンターと再生可能エネルギー発電所を組み合わせたビジネスモデルの輸出を支援する。NTTデータグループはデータセンター市場で世界シェア3位とされ、総合商社をはじめ太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー事業に注力する日本企業は少なくなく、両分野において日本企業の海外進出が促進される可能性がある。具体的なスキームやロードマップについて、政策を推進する総務省に取材した。
●目次
デジタル海外展開総合戦略2030
今回の施策を推進するに至った背景について、総務省 国際戦略局は次のように説明する。
「総務省は6月に『デジタル海外展開総合戦略2030』を策定・公表しました。その中で我が国の国際競争力の強化と経済安全保障の確保に向けて、自律性の確保が必要な領域と、将来において不可欠性の獲得が期待できる領域を重点分野として定めております。その重点分野の一つとしてデータセンターが含まれており、2030年頃までにオール光ネットワークとのパッケージ展開や海外市場の獲得を目標に定めまして、海外展開を進めていくこととしています。
具体的に実行する政策の一つとして、海外において新たなデータセンターのモデル実証に対する支援に取り組んでいくこととしており、オール光ネットワークや再生可能エネルギーをはじめとした発電システムと連携した新しいデータセンター事業モデルを海外に展開していくことを考えております。今年度はデータセンターと再エネを組み合わせた新たなモデルの実現に向けて、まずは欧州市場等の基礎調査を始める予定です」
総務省は前出のデジタル海外展開総合戦略2030のなかで、2030年までに世界のデータセンター市場における日本企業のシェアを20%以上にすることを目標として掲げている。今回の施策の意義は何か。
「大量の電力を消費するデータセンターと再エネ発電をセット販売のような形で実現し、課題解決につなげつつ、データセンターと再エネ発電の市場を取りに行くビジネスモデルの強化にもつながればいいと考えております。現在、総務省では経済産業省とも連携しながら、ワット・ビット連携というものを進めておりまして、送電容量の空きや再エネのポテンシャルがあるところにデータセンターを設置することで、データセンターの分散立地を進めていこうという取り組みです。こうした取り組みとも連携しながら、オール光ネットワークや再エネとの組み合わせによる新たな省エネデータセンターの事業モデルを日本企業のビジネスモデルとして確立し、海外展開に繋げていければ、海外マーケットにおいて一定のシェアが取れるのではないかと考えております」(総務省)