日本JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査プロジェクト「はやぶさ2」が目標とする小惑星「リュウグウ」。
このほど、リュウグウから採取されたサンプル中に「太陽系最古の岩石が発見された」と北海道大学らの研究チームが報じました。
その年代は約45億6730万年前。
今回の発見は、小惑星リュウグウが太陽系の遠方領域で誕生したことを示唆しています。
研究の詳細は2025年7月16日付で科学雑誌『Communications Earth & Environment』に掲載されました。
目次
- リュウグウはいつ誕生したのか?
- リュウグウから「太陽系最古の岩石」を検出
リュウグウはいつ誕生したのか?
小惑星リュウグウは、JAXAの探査機「はやぶさ2」によって地球にサンプルが持ち帰られたことで注目を集めました。
そのサンプルには約40℃の低温の水溶液から生成された鉱物が多く含まれており、かつてリュウグウ内部に水が存在していたことを物語っています。
その生成年代はは約45億6200万年前と推定されていました。
しかし、これらの主要な鉱物はすべて“二次的”にできたものであり、「リュウグウ」を作った最初期の原材料物質そのものが「いつ」形成されたのかは、これまで明らかになっていませんでした。

その謎を解く鍵を握るのが、「CAI(カルシウム・アルミニウムに富む包有物)」と呼ばれる鉱物です。
これは太陽系誕生直後の高温(1000℃以上)の領域で最初に結晶化した固体物質で、隕石中に含まれていることも知られています。
ところが、リュウグウや同型の隕石では、このCAIが非常に小さく(直径0.01~0.02mm)、しかも非常に稀にしか見つかりません。
そのため、リュウグウの成り立ちや、どの領域で誕生したのかを確かめるのは長らく困難でした。