私たちの食卓によく登場するジャガイモ。

揚げたり茹でたり、マッシュにしたりと、多彩な調理法で楽しまれていますが、その「調理法」が糖尿病の発症リスクを大きく左右することが明らかになりました。

米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)の最新研究では「フライドポテトを週に3回以上食べる人は、2型糖尿病(T2D)のリスクが約20%高まる」という結果が示されたのです。

その一方で、同じジャガイモでも、茹でたり焼いたりする調理法では、糖尿病リスクの増加は見られませんでした。

研究の詳細は2025年8月6日付で学術誌『The BMJ』に掲載されています。

目次

  • 「揚げる」は危ない?30年にわたる大規模追跡調査
  • 「置き換え」でリスクを下げる

「揚げる」は危ない?30年にわたる大規模追跡調査

研究チームは、アメリカ国内の20万5,000人以上の男女の食生活と健康状態を30年以上にわたり追跡しました。

その中で明らかになったのが、週3回以上のフライドポテトの摂取で、2型糖尿病のリスクが20%増加するという結果です。

一方で、茹でたジャガイモ、焼いたジャガイモ、マッシュポテトなどの調理法では、糖尿病リスクとの有意な関連は見られませんでした。

なぜフライドポテトだけが危険なのでしょうか?

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Credit: canva

その理由は、高温で揚げられたフライドポテトが、急激に血糖値を上げやすい性質を持っているためです。

これにより、膵臓から大量のインスリンが分泌され、長期的には体のインスリン感受性が低下し、糖尿病のリスクが高まるのです。

また、フライドポテトには飽和脂肪酸や過酸化脂質などの不健康な脂肪が多く含まれがちで、それも代謝系への負担を増やす要因になります。

さらにチームは、フライドポテトを他の食品に置き換えた場合の影響も分析しました。

その結果、フライドポテトの代わりに全粒穀物(全粒粉パン、全粒パスタ、ファッロなど)を摂取すると、糖尿病リスクが約19%低下することがわかりました。

「置き換え」でリスクを下げる