導入の鍵は「業務の見直し」と「連携」

 SaaS導入は「万能薬」ではない。社内フローの整理やデジタルスキルの底上げ、部門間の連携体制など、業務そのものの見直しが必要なケースもある。また、複数のSaaSを導入する場合はデータの連携や統一ルールの設定が重要だ。

 一方で、クラウドサービスが普及する中で、各SaaSベンダーも「連携可能なエコシステム」としての進化を進めている。API連携、カスタマイズ性、サポート体制などを見極め、自社にフィットするツールを選ぶことが求められる。

不動産SaaSで未来の働き方へ

 多忙かつ煩雑な不動産業務を、少人数で効率よく回すために――。SaaSは単なるITツールではなく、働き方を根本から変える「仕組みのアップデート」だ。今後は、契約からテナント対応、オーナーとのコミュニケーションまで、顧客体験(CX)を高めるエコシステムがさらに進化するだろう。業務現場の課題を理解し、改革意識を持って導入を進めることが成功の鍵だ。日本の不動産業界は、クラウド化の波に乗って新たなステージへ進んでいる。

(文=齋藤めぐみ/有限会社リーゼント、ライター)