参政党が徴兵制に前向きなのではないかと話題になっているが、石破首相も、もともと参政党に近い考え方の人物である。国会で徴兵制は憲法違反であるという考え方に疑問を呈したこともある。主だった政治家の中では、鳩山由紀夫と並んで、徴兵制に前向きな人物だ。

平和安全法制の際にも、石破氏は自衛隊を大西洋のアメリカの戦争に投入すべきだと発言していた。公明党や左派リベラルの野党が、なぜこうした姿勢をもっと警戒しないのかは不思議である。

徴兵制についての私の考え方は以下の通りである。徴兵制は、歴史的に見れば民主主義と不可分の制度と考えられてきた。世界的にはリベラルな人々によって支持され、保守的な人々は志願兵制を好む傾向にある。志願兵制は生命を金で買う制度だからである。

ヨーロッパやアメリカでは徴兵制を停止しているだけで、制度自体は潜在的に存在している。1990年代以降、技術の高度化によって縮小傾向にあったが、ウクライナ戦争を契機に、女性を含めて復活傾向にある。

日本では、そもそも論としてはともかく、憲法第18条でいう「苦役」にあたるとして徴兵制は禁止されるという憲法解釈が定着しており、ややこじつけではあるが、憲法改正なしに実施するのは無理である。

ただし、仮に外国勢力が上陸してきた場合には、自衛隊は相応の損害を受け、補充できない状態に陥る可能性が高い。その際にどうするのかという問題は、避けて通ることはできない。

私は、自衛隊の志願者だけで要員をまかなえない状況を避けるためには、以下の二点しか論理的な選択肢はないと考える。

武器を高度化して戦傷者を減らす。そのためには武器輸出も解禁し、軍事産業を強化すべきである。 国民に国防に参加することの意義を教育し、志願者が出やすい環境をつくる。

ところが、ハト派の人々は①にも②にも反対である。つまり、自称ハト派は徴兵制が必要になる日を近づけるために運動していると言っても過言ではない。