シェア拡大に向けた施策

 DeepLは2023年に日本法人を設置しているが、今後の日本市場におけるシェア拡大に向けた計画・施策について、同社は次のように説明する。

「パートナー連携強化:新規チャネルパートナーやシステムインテグレーターと協業し、API 経由での大規模展開を支援します。 業種特化ソリューション:製造、自動車、製薬、法務、IT など主要業界向けに、事例を交えた導入ガイドやテンプレートを提供し、業務効率化を推進します。 カスタマーサクセス:専任の顧客担当者による24時間×365日サポート、定期トレーニングやオンボーディングセッションで利用促進を図ります。 ローカル開発・研究投資:日本語特有のニュアンスや敬体・常体の対応精度向上に向けた研究開発を継続し、市場ニーズに合わせた機能拡張を行います」

 現在、AI翻訳サービスをめぐっては低価格の新規参入組も増えており、かつ米国の大手IT企業が実質無料でサービスを提供したりと、市場競争が激しくなってきているが、そうしたなかで、どのようにシェアを拡大させていく戦略を描いているのか。

「DeepLは、単なる価格競争ではなく、『品質』と『信頼性』による差別化を重視しています。特に企業向けでは、正確性が求められる法務・金融・製造などの分野で、DeepLの高精度な翻訳が強みを発揮しています。また、価格面でもサブスクリプション+従量課金モデルを採用し、エンタープライズ向けにはボリュームディスカウントも提供した柔軟な価格体系と競争力のある価格設定で、多様な顧客ニーズに対応しています。生成AIとの共存を見据えた機能強化や、NVIDIAとの連携による技術基盤の強化など、長期的な競争力の確保にも注力しています」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)