まず重要なのは、参院選敗因の正確な分析である。政治と金の問題、統一教会の問題を曖昧にしたことが選挙大敗につながっているという論調があるが、これは的外れな分析だろう。この2点が問題となり有権者がそっぽを向いたのであれば、野党第一党の立憲民主党の票が増えているはずである。

しかし、自民党と立憲民主党の両党ともに票を落としている。つまり、敗因の本質はこの2点とはまったく異なるところにある。このことを議論の冒頭で明言することが、建設的な総括への第一歩となる。

司会進行役は有村治子両院議員総会長が務めることになるが、首相側がイニシアティブを握ることを考慮すると、反対派も相応の作戦を練る必要がある。議事進行をコントロールされる可能性があるため、反対派の急先鋒で名前が通っている議員(例:茂木敏充氏や西村康稔氏)などが先手を打つ必要もあるだろう。

これらの有力議員が議論の初期段階で的確な問題提起を行い、流れを作ることができれば、他の議員も発言しやすい雰囲気が醸成される。逆に、執行部側が議事進行を巧みにコントロールし、建設的な議論の範囲内に収めてしまえば、反対派の狙いは不発に終わる可能性もある。

こうした政治的駆け引きには、表面上見えない様々な思惑や利害関係が複雑に絡み合っている。単純な石破支持・反対の構図だけでなく、各派閥の思惑、個々の議員の政治的立場、将来への布石など、多層的な要素が影響する。

実際の効果は、党内の力学や当日の政治情勢によって大きく左右されることになるだろう。反対派にとっては、制約の中での知恵比べとなり、執行部側にとっては議事運営の手腕が問われる場となる。8日の両院議員総会は、自民党の今後を占う重要な政治的試金石となりそうだ。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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