プリンセス・クラブの姿が最後に確認されたのは、公園の観光シーズン終了直前の今年7月。
レンジャーたちが定期的に行っている野生動物のモニタリング活動の中で、パノーントゥン観察地点にて偶然撮影されたのです。
ただ美しいだけじゃない、環境の“健康診断”を担う存在

プリンセス・クラブは、見た目が美しいだけでなく、実は非常に重要な「生物指標種(バイオインジケーター)」としての役割も果たしています。
これは、その生き物が棲んでいるという事実そのものが、「その場所の自然環境が健全である証拠」であることを意味します。
つまり、このカニが姿を見せたということは、ケーンクラチャン国立公園が今も高い生態系のバランスと環境の質を保っていることを示しているのです。
この国立公園は、タイ最大規模を誇り、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
ヒョウやクマ、ヤイロチョウ、キングコブラなど、絶滅危惧種を含む多様な動物たちが共存する重要な保護区域です。
国立公園・野生動物・植物保全局の発表では、今後もこのカニを含む希少生物の個体数や周囲の環境モニタリングを継続していくとのことです。
生物多様性の保存に向けた努力は、今も現地で静かに続けられています。
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参考文献
Rare purple crabs spotted in Thailand
https://www.popsci.com/environment/purple-crabs-thailand/
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部