プラスチック汚染を防ぐ国際条約の策定に向けた交渉が5日、スイス・ジュネーブで再開される。14日までの日程で条文案を議論するが、プラの削減策や特定の製品・化学物質を規制するかどうかを巡る隔たりは依然として大きい。各国が合意に向けて歩み寄れるかが焦点となる。
条約の策定は、プラによる環境汚染の深刻化を背景に、2022年の国連環境総会で決議された。24年末までの合意を掲げていたが、昨年12月の交渉では各国が強硬姿勢を崩さず、議長草案を基に議論を継続することとした。
草案の中で意見の相違が大きいのは、(1)プラの生産・廃棄を含むライフサイクル全体での削減対策(2)健康への悪影響が懸念されるプラ製品と添加される化学物質の規制(3)途上国への資金支援―の3点。削減対策では、欧州連合(EU)や汚染の影響を受けやすい島しょ国が石油由来のプラの生産規制などを求める。一方、経済的な打撃を懸念する産油国のサウジアラビアやロシアなどは、廃棄物管理の強化でプラ汚染を防げると主張する。
日本は、激しく対立する両者の「橋渡し役」(政府関係者)を担いたい考え。生産を含むライフサイクル全体での対策を各国の裁量で決める仕組みを設けるべきだと訴え、できるだけ多くの国が参加する条約を目指す。
ただ、化学物質の規制や途上国支援に関しても参加国間に溝があり、合意できるかは不透明な情勢。今後も生産・消費量の増加が見込まれる中、危機感を共有して議論を前進させられるかは予断を許さない状況だ。(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/08/02-15:30)