デパ地下は外国人観光客の間では人気スポット

 では、訪日客の9割は百貨店を訪れるという調査データもあるほど、インバウンドにおいて百貨店が根強い人気を誇っている理由は何であると考えられるのか。

「高品質で安心安全な日本製品や正規品が購入できるという信頼感と、丁寧で親切な接客やサービスを受けることができるという点であると考えております」(同)

 大手小売りチェーン関係者はいう。

「東京でいいますと、多くの訪日外国人が集まる銀座、新宿には百貨店があるので、とりあえず観光の一環として入ってみるという流れがあるでしょう。円安の影響で高級ブランド品が海外より安く買えるので、そうしたテナントが多数入居する百貨店で比較的富裕層の観光客がまとめ買いするという傾向は一定程度みられます。また、日本の化粧品は人気なので、店舗で相談員役の店員とコミュニケーションを取りながら買っていくという楽しみ方をする観光客もいます。このほか、デパ地下は一種のエンターテインメントとして外国人観光客の間では人気スポットとなっており、多くのレストランも入っているため食事にも便利だという点もあります。

 とはいえ、一昔前にみられた爆買いは鳴りを潜めたといえる状況ですので、百貨店側は“外国人観光客が来てくれれば売れる”という状況ではないため、魅力ある特集的な売り場の設置や上質なコンシェルジュ的な接客サービスなど、あの手この手で工夫を行う必要があります」(同)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)