「アトランティスだ」「歴史の隠蔽だ」— 再燃する陰謀論
最近になって、この忘れられた水中都市の話がSNSで再び話題となり、多くの人々が「あれは伝説のアトランティスだ」「歴史を覆す発見だから、隠蔽されたに違いない」といった陰謀論を唱え始めている。
「氷河期以前にも文明は存在し、何度も興亡を繰り返したのではないか」「私たちが教えられてきた歴史は嘘ばかりだ」といった声が、ネット上を飛び交っている。
しかし、科学者たちは、この「キューバの失われた都市」が本物ではないと考える、正当な理由があると主張する。
フロリダ州立大学の水中考古学専門家、マイケル・ファウト氏もまた、「もしゼリツキー氏たちが正しければ素晴らしいことだが、その時代の新世界(アメリカ大陸)の文明レベルを考えると、あまりにも高度すぎる。時代的にも場所的にも、ありえない」と、その発見に疑問を呈している。
人類の歴史はもっと古い?トルコや日本の謎の遺跡
とはいえ、定説よりも古い文明の痕跡とされるものは、世界各地で見つかっている。
トルコの「ギョベクリ・テペ」は、紀元前9500年頃から人が住んでいたとされる神殿遺跡だ。これはエジプトのピラミッドより5000年以上、イギリスのストーンヘンジより6000年も古い。

また、日本の与那国島沖で発見された海底遺跡、通称「与那国島海底地形」も、その直角に切り出されたような階段状の構造から、人工物ではないかという説が根強い。もしこれが人工物なら、この地が海に沈む1万2000年以上前に作られたことになる。
キューバの発見については、科学的な懐疑論に加え、政治的な壁も立ちはだかった。最初の探査は、当時のカストロ政権との契約のもとで行われたが、キューバ政府や博物館がその後、調査を進めることはなかったのだ。2002年にアメリカの海洋学者が計画した調査も、資金難で中止に追い込まれている。
科学的な謎と政治的な思惑が絡み合い、キューバ沖の「失われた都市」は、今も深い海の底で、真実が明かされる日を静かに待っているのである。
参考:Daily Mail Online、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。