●この記事のポイント ・「Zoff」、レンズ以外すべての部分がラバーでできた「Galileo」が売れている ・昨年10月に発売され、今年6月末の時点で販売数量は約1万8000本に上る ・形状を保ちつつ、かけ心地を損なわないために特許技術も含めた高い技術を使用

 大手メガネチェーン「Zoff」の、レンズ以外すべての部分がラバーでできた「Galileo(ガリレオ)」が売れている。誤って踏んでしまったり、モノとぶつかっても壊れにくいのが特徴。昨年10月に発売され、今年6月末の時点で販売数量は約1万8000本に上り、メガネの新商品としては異例のヒットとなっている。形状を保ちつつ、かけ心地を損なわないために特許技術も含めた高い技術を使用し、3年がかりの企画・開発期間を経て発売にこぎつけた同商品。そのヒットの理由について、Zoff運営元への取材を交えて追ってみたい。

●目次

柔らかさや厚みが違う何種類ものラバーが全部一体

 ラバー製メガネを開発・発売するに至った背景について、Zoffを運営するインターメスティックはいう。

「弊社には社長から商品開発担当者まで、ざっくばらんに商品について話し合い、理想を語り合った上で具現化していくという文化があるのですが、そのなかで、当初は子ども向けという点に軸足を置いて開発が始まったのがガリレオでした。日常生活や運動の際にメガネをかけていると『壊したらどうしよう』と気を取られてしまい集中できないことがあり、そうした子どもが抱く不安を払拭するメガネができたらいいよねというところが、開発のスタートでした。そのなかで社長から『メガネって、ずっとプラスチックとメタルの2種類しか素材がなくて、だから可能性が狭まってしまう』という言葉があり、そこから新しい素材でメガネをつくることにチャレンジすることになり、ラバーに行き着きました。

 実はラバーは一般的なメガネでは使われている素材ではありまして、例えばノーズパッドやツルの部分で使われていますが、全部ラバーのメガネはなく、普通であれば『無理でしょう』で終わってしまうかもしれませんが、弊社には『無理というのは基本的には言わない』という文化があり、開発と生産の担当者で突き詰めていった結果、ガリレオのような商品が出来上がったというのが経緯でございます」

 実際の購買層としては、子ども以外も多いという。

「メインで購入されているのが30~40代の男性でして、用途としてはスポーツ用などが多いです。60代以上の方々の購入もそこそこあり、老眼鏡としての需要が強いです。老眼鏡をかける方は、過去にメガネをかけてこなかった方が多く、眼鏡の扱いに慣れていない方に『壊れにくい』と感じていただける点がポイントとなっているようです」

 開発にあたっては、大部分をラバーで構成しても“かけ心地”が損なわれないように工夫し、開発には3年を要した。

「“かけ心地”を損なわないために、2種類の硬さのラバーを使用しています。外側には硬いラバー、内側には柔らかいラバーを使っていますが、ある程度の硬さがないとメガネとして形状を保つことができませんし、硬すぎるとかけ心地が悪くなってしまうので、外側の硬いラバーで形状を保ち、内側の肌に当たる部分には柔らかいラバーを使用することで、かけ心地を担保しました。

 ラバー製のメガネをつくることが決まっても、どのような硬さのラバーをどこに使えばよいのか、見当もついてないところからのスタートで、外側の硬さをどうするか、内側の硬さをどうするか、圧着した際の硬さはどうなのかという検証に時間がかかりました。また、通常のメガネは部分部分が金属の部品で止められており、金型をつくって量産を行いますが、一体型のラバー製になると通常のメガネとは勝手が違ってくるので、非常に高レベルな技術が必要となりました。何度もトライして、量産にたどり着くまでに多くの時間がかかりました。

 メガネの内側のラバーは特許を取得しており、斜線のような模様が入っていて外から圧力がかかると重なり合ってクッションになるようにつくられています。柔らかさや厚みが違う何種類ものラバーが全部一体で含まれており、かなり高い技術が使われています」