アーセナル 写真:Getty Images

 昨2024/25シーズン、プレミアリーグのアーセナルは得点力のあるストライカーを渇望しているように見えたが、FWビクトル・ギェケレシュの今2025年夏の加入によってその課題は解消されたと思われる。

 昨シーズン、アーセナルは優勝したリバプールよりも失点が少なかった。しかし、得点は17点も少なく、これがプレミアリーグ優勝争いにおける最大の差だったと言えるのかもしれない。

 その差を埋めるためにギェケレシュが獲得されたのは明らかだが、問題はそう単純ではないようだ。

 UKメディア『BBC』によれば、アーセナルの本質的な課題は得点機会そのものの創出にあり、決定力の問題ではなかったという。リバプールは昨シーズン、リーグ最多のPKを9本獲得してすべて成功させたが、アーセナルはわずか2本しか得ていない。このPK数の差はリバプールの得点効率が高い要因の一つとなっている。

 実際にPKを除いた非PKシュートの決定率では、アーセナルの方がわずかに上回っていた。また、ゴール期待値(xG)からも、アーセナルのフィニッシュ精度自体はむしろ高水準だったことをデータが示している。

 一方で、アーセナルは38試合でリバプールよりも95本少ない非PKシュートしか放っておらず、1試合あたり約2.5本の差があった。もし同じだけのシュートを放ち、昨シーズンの得点率を維持していたならば、アーセナルはさらに12点を加算できた計算となる。つまり、そもそもチャンスを作れていないことが大きな要因だったようだ。

 加えて、シュートの質でも差が出ている。非PKシュート1本あたりのxGで見ると、アーセナルのチャンスは平均11%の確率でゴールになっていたのに対し、リバプールは12%だった。この1%の差も、シーズン全体で見れば5得点相当の差に繋がるとのことだ。

 ギェケレシュの加入は、決定力の補強というよりも、むしろチャンス創出力の向上に寄与する点が期待されている。昨シーズン、同選手は90分あたり4.5本のシュートを放ち、セットプレーから60回のチャンスを作り出し、PKも最多の4本を獲得している。