しかもこの数値は、従来の推定値(10〜20µm以上の粒子しか計測できなかった)よりも100倍以上高いという点も衝撃的です。
では、体に入ったマイクロプラスチックはどこへ行くのでしょうか?
直径10µm以上の粒子は、気道の粘液にからめ取られ、最終的に飲み込まれるか咳とともに体外に排出されると考えられています。
一方、10µm未満の超微細粒子は肺胞まで到達し、場合によっては血中に入り込み全身をめぐる可能性もあります。
それらの粒子は単なる“異物”ではなく、内分泌かく乱物質や有害な重金属を含むこともあるため、慢性的な炎症、免疫異常、がんリスクの増加など、さまざまな健康被害との関連が指摘されています。
ただこの点に関しては科学的な実証データはまだなく、健康にどのような悪影響を及ぼしているかどうかは定かでありません。

今回の研究によって明らかになったのは、私たちが“無意識のうちに”マイクロプラスチックを大量に取り込んでいるという厳然たる事実です。
そしてこれは一部の特殊な環境ではなく、ごく日常的な空間――自宅や通勤の車内――で起きていることなのです。
将来的には空気清浄機や換気のあり方、内装素材の選び方にまで、マイクロプラスチック対策が求められる時代がやってくるかもしれません。
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参考文献
Study Reveals The Shocking Amount of Plastic We Breathe in Every Day
https://www.sciencealert.com/study-reveals-the-shocking-amount-of-plastic-we-breathe-in-every-day
元論文
Human exposure to PM10 microplastics in indoor air
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0328011