欧州サッカー連盟(UEFA)写真:Getty Images

 イタリアがトルコと共同開催を予定しているUEFA欧州選手権2032(ユーロ2032)に向けた準備の一環として、クラブ関係者とUEFA、イタリアサッカー連盟、地元自治体による協議が現地7月26日に行われた。

 その中で、セリエAのナポリはスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナからの撤退を正式に表明し、クラブの歴史における「マラドーナ時代」に終止符を打つ決断を下した。

 このスタジアムは1959年に開場し、1990年のFIFAワールドカップ(W杯)では5試合が開催された。収容人数は5万4726人で、イタリア国内で4番目の規模を誇るが、近年は老朽化が進行している。

 クラブは、2年間にわたって自費で実施した調査の結果、現スタジアムへの投資は現実的でないと結論づけた。また、ナポリ市議会が提案した改修計画についても、UEFAが求める現代的な基準を満たしていないと判断し、公式声明でその見解を明らかにしている。

 ナポリは自前で新たなスタジアムを建設する計画を進めており、既に市内の荒廃地域を候補地として検討している。具体的な場所は明かされていないが、UEFAのインフラ要件を満たす十分な敷地が確保できる見通しとされている。

 この移行が実現すれば、ナポリはクラブの過去と決別する象徴的な出来事となるだろう。マラドーナとナポリの栄光を象徴するスタジアムとの別れは、痛みを伴う一方で、ユーロ2032の試合誘致やトップレベルの施設整備という将来への展望を見据えた、大きな一歩とも言える。