2022年10月9日、宇宙でとてつもない“閃光”が検出されました。
NASA(アメリカ航空宇宙局)の観測衛星によって検出されたその爆発現象は、従来の記録を大きく塗り替える「史上最も明るいガンマ線バースト(GRB)」として世界を驚かせました。
この“宇宙最強の閃光”に対して、日本を含む国際研究チームが、地上の巨大な望遠鏡「チェレンコフ望遠鏡LST-1」を使って追跡観測を実施。
その結果、これまで謎だったガンマ線バーストの“内部構造”に迫る、新たな証拠をとらえることに成功しました。
いったいこの爆発は何だったのか?
そして観測から見えてきた意外な「ジェットの構造」とは?
研究の詳細は2025年7月23日付で科学雑誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されています。
目次
- 突如現れた「宇宙最強の爆発」と、その追跡劇
- 見えてきた「ジェットの真の姿」とは?
突如現れた「宇宙最強の爆発」と、その追跡劇
ガンマ線バースト(GRB)とは、宇宙で最も激しいエネルギーの爆発現象のひとつです。
数秒から数分の間に、太陽が一生かけて放つエネルギー量を一気に放出する――そんなスケールの爆発が、遠くの宇宙でランダムに起こっています。
その中でも、2022年10月9日に発生した「GRB 221009A」は別格でした。
あまりの明るさに複数の観測装置が一時的に機能不全を起こしたほどで、世界中の天文学者の間で「BOAT(Brightest Of All Time=史上最も明るい)」と呼ばれるようになったほどです。

この爆発に対し、スペイン・ラパルマ島にある大型望遠鏡「チェレンコフ望遠鏡LST-1」が緊急対応。
東京大学、千葉大学、京都大学などの日本の研究者も参加する国際チームが、爆発発生から1.33日後という早い段階で観測を開始しました。