ぼんやりは危険かもしれません。
早稲田大学などで行われた研究により、ぼんやりとした考え事をする時間が「過去への後悔(反すう)」や「将来への取り越し苦労(心配)」といったネガティブな『ぐるぐる思考』を次々と引き起こし、メンタル不調を強めるという仕組みを世界で初めて明らかにされました。
なぜ中立的に思える「ぼんやり時間」がいつの間にか自己否定につながるのでしょうか?
本研究の論文は2025年7月1日付で『Scientific Reports』にオンライン公開されています。
目次
- あなたの『ぼんやり時間』が心に与える意外な影響とは?
- 『ぼんやり考え事』が心の不調につながることを世界初の実験で証明
- 『ネガティブ思考』の負の連鎖を断ち切るための処方箋
あなたの『ぼんやり時間』が心に与える意外な影響とは?

何かに集中していたはずなのに、気がつけば全く関係のないことをぼんやりと考えてしまっていた…。
そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
こうした「心ここにあらず」な状態を心理学では「マインドワンダリング」と呼んでいます。
実は、私たちは起きている時間のかなりの割合(およそ10~50%)を、こうしたぼんやりとした考えごとに使っていることが研究から明らかになっています。
一見するとただの注意散漫に思えるこの現象ですが、実際には私たちの心にさまざまな影響を与えていることが最近の研究で分かってきました。
例えば、ぼんやりと頭を巡らせることは、必ずしも悪いことばかりではありません。
以前の研究では、将来の計画を立てたり、創造的なアイデアを生み出したりするのに役立つことが報告されています。
実際、芸術家や研究者のような創造性が求められる仕事をする人ほど、この「ぼんやりとした考え事」をする時間が長いとも言われています。