シンガポールの南洋理工大学(NTU)で行われた研究によって、生きた昆虫に電子デバイスを背負わせ、外部から自由自在にその動きを遠隔操作できる「サイボーグ昆虫」を大量生産する技術が開発されました。
これまでサイボーグ昆虫の製作は、人間の熟練技術者が手作業で慎重に行う必要があり、1体あたり約15分も要していましたが、今回開発された新技術は、AIを搭載したロボットアームと画像認識技術によって、昆虫の体に電極を差し込む最適なポイントを瞬時に特定し、正確に電子機器(バックパック)を装着することを可能にしました。
その結果、1体あたりの作業時間はわずか約1分8秒にまで短縮され、従来に比べて約13倍ものスピードで安定して量産できるようになりました。
まさにSF映画の世界のような「サイボーグ昆虫工場」が現実味を帯び始めたのです。
災害現場での人命捜索や、橋梁・トンネルなど重要な社会インフラの点検にも応用可能なこの画期的な技術は、私たちの安全や暮らしにどのような影響をもたらすのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年7月28日に『Nature Communications』にて発表されました。
目次
- 「サイボーグ昆虫」が災害救助を変える:迅速捜索の新たな挑戦
- AI×ロボットがサイボーグ昆虫を量産
- 実際の災害現場で活躍開始!サイボーグ昆虫が描く新たな可能性
「サイボーグ昆虫」が災害救助を変える:迅速捜索の新たな挑戦

誰もが災害のニュースを目にしたとき、「少しでも早く救助できなかったのだろうか」「もっと迅速に人を助ける技術はないのだろうか」と考えたことがあるのではないでしょうか。
近年では、地震や集中豪雨などによって世界各地で大規模災害が頻発しており、倒壊した建物や閉ざされた空間でいかに迅速かつ効率的に生存者を見つけ出すかが重要な課題となっています。