
ASEAN U-23選手権(マンディリカップ)2025の決勝が、7月29日夜にジャカルタのゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムで開催され、U-23ベトナム代表がホームのU-23インドネシア代表を1-0で下し大会3連覇を達成した。この試合では、ベトナム代表を率いる韓国人指揮官のキム・サンシク監督が、インドネシアのロングスロー攻勢を封じるために見せた秘策が話題となっている。
インドネシア代表と言えば、かつて東京ヴェルディに所属していたDFプラタマ・アルハンが“ロングスローの名手”として有名だが、今回のU-23代表でもMFロビ・ダルウィスがロングスローを連投し、インドネシアの大きな武器の一つとなっていた。
ベトナムは前半37分に19歳の新鋭MFグエン・コン・フオンのゴールで先制。後半圧力を強めてきたインドネシアはロングボールを多用して、じりじりとベトナムを追い詰めた。これに対し、ベトナム陣営は後半終盤、自陣テクニカルエリア前にペットボトルをずらりと並べロングスローを妨害。試合を観ていた東南アジア各国のファンたちはSNS上で「狡猾」「キム監督はロングスローを無効化する秘策を思いついた」などとコメント。インドネシアのファンからは「スポーツマンシップに反する」「卑怯」など批判が殺到した。
この作戦に苛立ったインドネシアのアシスタントコーチが、ベトナムのテクニカルエリアに侵入してペットボトルを蹴り飛ばし、退場処分となる一幕もあった。試合終盤にはインドネシアがロングボール攻勢を仕掛けるシーンもあったが、足元に並べられたペットボトルに気を取られたのか、決定的なボールを投げることはできずにベトナムが1-0で逃げ切った。
試合後の記者会見でキム監督は「暑かったので、選手たちが給水しやすいようにペットボトルを並べていただけで、他の目的はなかった」と述べ、ロングスロー妨害を否定した。一方、敗れたインドネシア代表は指揮官の交代を決定。これにより、ジェラルド・ファネンブルグ監督(元ジュビロ磐田)が年末の東南アジア競技大会(SEA Games)を指揮することはなくなった。