米ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)は2021年に、高速度カメラと力覚センサーを使って、「指パッチン」の速度と加速度を測定し、あまり知られていないスナップの物理的メカニズムを調査。

その結果、指パッチンは、人体にできる動作の中で最速の運動であることが分かりました。

報告によると、指パッチンの最大角速度は7800度毎秒(deg/s)、最大角加速度は160万度毎秒毎秒(deg/s2  )に達すること。

これはつまり、スナップした中指が描く小さな弧は、わずか1秒で160万度の角度を踏破でき、これはプロ野球選手のピッチングが生み出す加速度の3倍に匹敵する数値です。

研究の詳細は2021年11月17日付けで学術誌『Journal of the Royal Society Interface』に掲載されています。

目次

  • きっかけは「サノス」
  • 指パッチンは人体で最速の運動

きっかけは「サノス」

研究主任で、化学・生体分子工学者のサアド・バムラ(Saad Bhamla)氏は、この調査について、2018に公開された映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(Avengers: Infinity War)』がきっかけだった、と話します。

本作を観た方ならすでにお察しでしょうが、観てない方のために説明しますと…

タイタン星人のサノスは、宇宙の均衡を保つべく、不思議な力を持つ6つの石:インフィニティ・ストーンを探す。

6つすべてを集めて指パッチンすると、全宇宙に存在する生命の半分を消し去ることができる

ヒーローたちは一致団結してそれを阻止しようと奮闘する…

しかし、指パッチンは、重々しいガントレットを手に装着した状態でしなければなりません。

ストーンをガントレットにはめるサノス
ストーンをガントレットにはめるサノス / Credit: Marvel Universe Entertainment/youtube

これを観たバムラ氏は「ガントレットをはめた状態で本当に指パッチンできるのか」と学生と議論したと言います。