技術的なカギと課題
炭素除去クレジットの創出という目的もあるのか。
「持続可能な農業の実現と環境負荷低減を目指し、将来的には本研究を事業モデルとして確立していきたいと考えています。そのためにクレジットの創出も目指しています」(カゴメ)
「最終的には新たな経済的価値を生み出せればよいと考えておりますが、優先順位としては炭素貯留ができる仕組みをつくるというほうが高いと考えております」(キユーピー)
両社はマイルストーンとして、2027年以降の事業化を目指しており、まず2年ほどかけて研究や実際にバイオ炭を栽培農地にまいた場合の評価などを行っていく。技術的にカギや課題になる部分は何か。
「現在実装されているバイオ炭は、もみ殻や木材由来のものが多いのですが、水分が少ない原料から作るのは比較的効率は良いです。一方、植物や食品工場で生じる残渣は水分が多い資源なので、それを効率よく炭化する技術を2社で協力しながら進めています。特に脱水という部分に関しては、両社で検討しながら進めております」(カゴメ)
社会的には意義のある取り組みだが、企業としてどのようなメリットやプラスの効果があるのか。
「私たちは『畑は第一の工場』と考えており、畑から出た未利用資源を、再び畑に活用することで、未利用野菜資源の有効活用だけでなく、CO2 削減につながることは大きな意義があると考えています。また、バイオ炭の活用により、土壌改良や作物の生育促進効の効果の検証も、今後行っていきますので、野菜由来のバイオ炭の農業利用における有効性にも期待しています」(カゴメ)
「私たちも、サーキュラーエコノミーの実現というビジョンを、達成していくということについては、経営的な意義があると考えております」(キユーピー)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)