【ジャカルタ=時事】インドネシアの人材を日本に紹介するイベントなどを積極的に企画・開催、両国の橋渡しに心血を注ぐ人物がジャカルタにいる。「確かに半分はボランティア」と言いながら、本業そっちのけで熱心に活動するのは、再生エネルギー会社「AwingGP―PT―Awina」(南ジャカルタ市)の社長中村広秀さん(73)だ。
日本の大手企業で役員を務めていたが、2008年のリーマンショックを受けて退職を決意、インドネシアで起業した。58歳のときだった。「日本での仕事は金をもうけることばかり。銀座で接待するよりも、もっと人のためになることをしたい」とジャカルタに生活拠点を移したという。
現在は、インドネシアへの進出を検討する日本の中小企業と現地パートナーとの調整にも携わっており、今月中旬にはスラウェシ島南部のマカッサルで、大学生らを対象とした長崎県の企業説明会も開催した。
「インドネシア人は基本的に優しいし、うそをつかない。一方で、インドネシアにはさまざまな分野でノウハウが足りない面がある。日本で一定期間働いた若者がインドネシアに戻って来て、そうした面を補完してくれればウィンウィンの関係が構築できる」と中村さん。少子高齢化で労働人口が急速に減少しているという事情は日本の多くの自治体に共通しており、既に北海道や北関東、中部地方から問い合わせが来ているという。
「インドネシアで築いた人脈を武器にまずは長崎県でモデルケースをつくり、日本全国に広めていきたい」。インドネシアの中央銀行や国立大、県知事会の顧問なども務める中村さんは、そう言ってほほ笑んだ。(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/07/27-16:16)