ウクライナはロシア軍に制空権を握られ、ここにきて数百の無人機攻撃を受けて、首都キーウでも多くの民間人に犠牲者が出ている。それだけに、ゼレンスキー大統領は米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対空防御システムの提供を要請してきた。ウクライナにとって、イスラエルから防空システムの技術移転が可能ならば理想的だろう。
サール外相は、ウクライナ政府がイラン政府関係者への制裁措置と、イスラエルによるイランの核施設への攻撃を支援したことに感謝の意を表明。また、イスラエルはロシアとの戦争においてウクライナを支援していることを強調した。
ちなみに、ロシア軍のウクライナ侵攻後、イスラエルは暫くは中立の立場を取り、モスクワへの制裁を課さなかった。これは戦略的な理由に加え、イスラエルのユダヤ人人口の5分の1がロシア系であることから、両国間の良好な人間関係も理由の一つだ。そのイスラエルはここにきてロシアとは距離を置く一方、ウクライナ支援を鮮明にしている。
ウクライナとユダヤ人の関係は、歴史的に複雑だ。ウクライナには古くからユダヤ人が居住し、ポグロム(ユダヤ人迫害)やホロコーストといった悲劇も経験している。ロシア軍のウクライナ侵攻後、多くのユダヤ人がイスラエルに移住している。ゼレンスキー大統領自身はユダヤ人だ。一方、ロシアに住んでいたユダヤ人もウクライナ戦争後、ロシアからの出国が絶えない。ロシアに住むユダヤ人人口は現在約19万人と推定されている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年7月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。