2023年に改定された「外国人材受入れ及び共生のための総合的対応策」に基づき、政府は今後5年間で「特定技能」枠で最大82万人の受け入れを計画している。分野別では以下のような予測が示されている。

図2:特定技能分野別受け入れ目安2023年改定の「総合的対応策」に基づく特定技能分野別受け入れ目安。各分野で必要とされる人材の制度的枠組みと、地方自治体への影響が焦点となる。
一部自治体では、これらの分野に対応した研修施設や多言語支援の整備が進みつつあるものの、たとえば佐倉市を例に取るなら、生活習慣のサポート、日本語教育などの「一般的な受け入れ態勢の構築」は、地方自治体の負担に委ねられており、中央省庁の支援体制はまだ十分とは言えない。
制度設計への要請
ここまで示した予測は政府の公表資料に基づくものだが、さらに細かい分野別の数値や見通しは、JICA・民間シンクタンク・研究者らによる独自推計によって補完されている。しかしそれらは、あくまで独自の前提と手法に基づくものであり、政府の制度運用に直接的な責任を伴うデータではない。
したがって、今後求められるのは、各省庁が中長期の「分野別受け入れ必要数」を明確に算出・公表することである。その数値が妥当であるかどうかを、国会や政党が正面から議論し、国民に共有することが、制度設計の透明性と正当性の確保に資する。
以上を踏まえ、次稿では政党間の政策論に求めることについて整理したい。
・我が国の外国人労働者に関する諸課題 ・参院選の外国人政策:選挙報道における制度的視点の欠如 ・参院選の外国人政策:仮放免制度と強制送還