総選挙と参議院選挙での自民党の退潮は、裏金(収支書不記載)事件のせいだから、保守派が石破総裁の退陣を要求するのはおかしいという人がいる。
しかし、事情は複雑で、それは事実に反する。裏金問題が発生してから自民党への支持率が減っているが、増えているのは参政党、国民民主党、保守党だ。比例区の得票率で見ると、立憲民主党やれいわは総選挙では微増したが、共産党や社民党は後退したし、参議院議員選挙では立憲民主党も後退し、得票率12パーセント台で国民民主、参政党と接戦で並んだものの野党第三党にとどまった。
得票率を伸ばしたのは、参政党と国民民主党、保守党であって、少なくとも参政党と保守党は裏金議員に対する処分が厳しすぎるといって自民党を離反し他人たちの票だし、国民民主の伸びは裏金議員に対する処分が軽すぎるというのと重すぎるという両方の動きが交差しているが、少なくとも、経済政策については、自民党の保守派や参政党、保守党と同じ方向を向いている。
それでは、自民党の票で裏金問題は許せないといって支持しなくなった部分はどこに行ったのかというと、ひとつは、投票に行かなくなったのと、あとは、立憲民主党などに行ったのもあるが、別の理由で左派系野党への支持が減っている分を埋め合わせ出来るほどですからなかったのだ。
国民民主党は反裏金問題で自民党を離れた人たちの受け皿になったが、玉木代表の不倫と山尾志桜里公認問題でかなりの部分を参政党にとられた。
参政党は自党がクリーンであることは主張したが、裏金問題を強く批判していたわけでない。保守党は自民党保守派から出た人が反石破で戦った党だ。

参政党HPより
そして、岸田氏や石破氏がかなり厳しい処分を裏金議員にしたことは、自民党の支持率向上に悪影響を与えたほうに働いたのである。

岸田前首相と石破茂首相 自民党HPより
一方、公明党にとっては、もらい事故で泣き面に蜂だ。公明党は自民党に厳しい措置を望んだが、それでも、あまりもの大量処分を前に、その人たちを推薦しないとするのは、遅すぎた。公明党は上意下達で動く様に見ている人が多いが根回しを下部組織に早くからしないと動かない組織なのだ。

斉藤鉄夫代表 公明党HPより