国内証券会社の顧客口座の乗っ取り事件では再発防止対策と被害者への補償が始まっています。
被害に対する補償では野村、大和、SMBC日興、三菱UFJモルガン・スタンレーの対面大手5社は原状回復による完全補償を決定しました。
「原状回復」とは不正アクセスによって売られた株は顧客の口座に戻し、買われた株は口座から取り除く手厚い対応です。
これに対してネット証券は金銭補償を採用し、全員に全額を戻す方針は採らない方針と対応が分かれています。
ネット証券の補償に不満を持つ人たちは訴訟を起こす動きもあるようです。
しかし、証券口座の約款にはログイン後画面の管理に関して自己責任という契約になっています。
対面証券も恐らく同様の契約になっているはずで、今回の全額現状回復は超法規的措置の過剰保護と言えるのではないでしょうか?
ネット証券は手数料が安く現状回復するためのリソースも不足しており、大手対面証券に比べ補償が不十分という意見ありますが、私はそうは思いません。
手厚い補償ができるということは、裏返せば大手対面証券は普段から莫大な手数料を徴収して利益を上げているということです。今回の補償は利益の一部を原資にして返還しただけの話です。
不正アクセスはアクセスする側に100%の非がありますが、投資家サイドでも防止策を取ることは可能です。私が使っているマネックス証券でも今月からログイン時の多要素認証が必須化されセキュリティ面でも問題はありません(写真)。
今回の対応の違いから「ネット証券=危険」というのは短絡的です。むしろ「大手対面証券=割高」と捉えるべきだと思います。完全補償という口当たりの良い言葉の裏にある真実を知れば、どちらを使うべきかは明らかです。
私はこれまでネット証券を使って不正アクセスの被害に遭うことは一度もありませんでした。これからもさらにセキュリティが強化されたネット証券を使って取引をするつもりです。