カスピ海に西岸に位置するコーカサス地方の国、アゼルバイジャン。

この国で最近、信じがたい驚きの発見がありました。

アゼルバイジャン国立科学アカデミー(AMEA)の考古学チームが、約3800年前に埋葬された身長2メートルの巨大な兵士の全身遺骨を発掘したのです。

また戦士の手には、極めて珍しい四又の青銅製の槍が握られていました。

目次

  • 巨人兵はリーダー級の人物だった?
  • 巨人兵の謎の解明はつづく

巨人兵はリーダー級の人物だった?

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発掘された墓/ Credit: AMEA(2025)

発掘の舞台となったのはアゼルバイジャン西部、ジョージアとアルメニアの国境に近い「ジェイランチョル平原」という地域です。

調査チームはここで、紀元前1800年頃にまでさかのぼる直径28メートル・高さ2メートルという巨大な「クルガン(古墳)」を発見し、慎重に掘り進め、その中心に設けられた墓室に到達しました。

墓室は3つの区画に分けられており、一部には人物の骨と装備、もう一部には陶器の壺、そして最後の部屋は空でした。

この区分けは、死後の世界への信仰や儀礼を反映している可能性があります。

つまりこの「巨人兵」は、来世を見据えて特別な形で埋葬されたと考えられているのです。

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何かを模して彫った可能性が高い巨大な石像も見つかった/ Credit: AMEA(2025)

考古学者たちの注目を集めたのは、巨人兵の「武装」です。

四又の槍の穂先は、青銅器時代の中でも極めて珍しいもので、これまで南コーカサス地域でほとんど発見されたことがありません。

加えて、足首には青銅の装飾、そばにはガラスビーズや黒曜石の道具、そして12点もの精緻な陶器壺が添えられていました。

これらの壺は、複雑な点描や押し型模様が施され、白い物質で象嵌された豪華なものばかりでした。

さらに驚くべきは、その中に入っていた動物の骨の数々。

山羊、牛、馬、イノシシなどが調理された形跡を残しており、「来世での食事」として戦士とともに納められていたとみられます。

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巨人兵の手に握られていた四又の槍先/ Credit: AMEA(2025)