伝説と発見の一致
興味深いことに、この地には古くからの伝説が残されている。古代ルーマニアの民(ダキア人)が崇めた神ザモルクシスが、まさにこの山の中に自らの住居と聖域を築いたというのだ。この発見は単なる偶然なのだろうか。それとも古代の伝説が指し示していた真実なのだろうか。
もちろん、この話には多くの懐疑的な目が向けられている。本の内容はあまりにSF小説のようであり、作り話だと一蹴する声も少なくない。しかし、歴史を振り返れば、センセーショナルな発見が、最初はいつも手の込んだデマや作り話として扱われてきたのも事実だ。
例えば、エジプトで発見された古代の地下迷宮。その存在は2008年に学術誌で報告されたにもかかわらず、その後の詳細は社会から遠ざけられ、謎に包まれたままだ。ブチェジ山脈で起きたとされる出来事も、これと同じ運命を辿ったとは考えられないだろうか。

(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))
歴史を揺るがす真実か、巧みな作り話か
一方で、批判的な意見も根強い。この話には客観的な事実が欠けており、すべては主張に過ぎないというものだ。
さらに、発見場所とされるエリアが、山岳リゾート地であるシナイア市のすぐ近くにあることも指摘されている。この本や発見の噂は、単にこの地域の観光客を増やすための巧みなプロモーション戦略ではないかというわけだ。
果たして、ブチェジ山脈の地下には本当に歴史を変える秘密が眠っているのだろうか。それとも、すべては巧みに練られた壮大なフィクションなのか。真実は私たちが知り得るよりももっと奥深いところにあるのかもしれない。
参考:The Ancient Code、ほか
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