参考までに、ローマ・カトリック教会の信者,麻生太郎氏は幼児洗礼を受けている。また「沈黙」を書いた小説家遠藤周作も幼児洗礼を受けているから、両者は、「宗教2世」と呼んでもいいわけだ。だだ、日本のメディアが過去、麻生太郎元首相を「宗教2世」と呼んだとは聞かない。

キリスト教の歴史ではアナバステスト運動といわれ、幼児洗礼を否定し、再洗礼派と呼ばれる宗教運動がある。16世紀に起きた宗教改革の文脈から生まれた同運動は、スイス、チロル、南ドイツに始まり、モラビアなど中欧全域に広まっていった。教会への入会のためには、洗礼を受ける人の意識的な信仰と意志の行為が必要であると理解していた。そのため、幼児洗礼を拒否した。ちなみに、バンス米副大統領は19歳の時、カトリック教会で洗礼を受けている。また、プロテスタント派のキリスト者の石破茂首相は18歳で洗礼を受けたと聞く。両者は「宗教2世」ではないわけだ。

通常、人は自身の家庭、氏族が代々継承してきた信仰を自然に引き継ぐ。その意味で、多くの人々は「宗教2世」であり、3世、4世・・だ。旧統一教会の場合も「宗教2世」が生まれ、3代、4代と継承していく。極、自然なことであり、特異な現象ではない。ただ、日本の場合、事情は少し異なる。「宗教2世」という表現は旧統一教会に反社会的な団体というイメージを与えるために左派メディアが恣意的に頻繁に使用し、それが奇異な状況と思わせるために、元信者の「宗教2世」を動員して、イメージ操作しているわけだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年7月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。