【ハノイ時事】国際協力銀行(JBIC)ハノイ駐在員事務所の安居院徹首席駐在員はこのほど、ベトナム国家大学ハノイ校傘下の経済大で、日本企業のベトナムにおける投資状況などに関する出張講義を行った。大学生に日系企業やJBICの活動について理解を深めてもらうことが目的という。
同氏は講義で、例年行っている日本企業の海外直接投資アンケート調査結果を用い、企業が中期的に有望な事業展開先と判断した国・地域で2023、24年度とベトナムはインドに次いで2位に位置し、20年間5位から下となったことがないと強調。「日本はベトナムを投資先として非常に信頼性があるとみている」と述べた。
また、JBICは日系民間企業に対する融資活動を通じ、海外展開を支援していると説明。ベトナムには製造業から小売業をはじめとした非製造業まで数多くの日系企業が進出しており、有望要因の一つに高度な技術力を持った労働力の存在を挙げた。一方で、労働コスト上昇などを企業は懸念しているとも述べた。
このほか、近年は地政学的リスクなどの観点からベトナムが中国の製造拠点移管の受け皿の一つとなっているという特徴も紹介。その上で、米国の高関税措置が適用された後もこの流れは一定程度継続するのではないかとの見通しを示した。
講義後、学生からは日本企業の海外投資先として「ベトナムがインドを超えるにはどうすればいいのか」、「ベトナムの労働力に求めることは」といったさまざまな質問が寄せられた。
安居院氏は7月に、JBIC内で「ベトナム及びASEAN広域連携担当チーフアドバイザー」に任命された。初めて開設されたポジションで今後、ベトナムのほか東南アジア諸国連合(ASEAN)全体の専門家として同行の新たな活動領域を開拓したい考えという。(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/07/23-18:33)