結局、ある生き物を使って別の生き物を駆除しようとする「生物農薬」は、人の力でコントロールするのがとても難しく、期待したような成果が出ないのはおろか、より悪い結果をもたらしてしまうことのほうが多いと言われています。その最たる例がジャンボタニシでしょう。

ジャンボタニシは標準和名をスクミリンゴガイといい、もともとは食用にすることを目的に移入されましたが定着せず、逸出し野生化。水田に侵入しイネを食害、大きな被害をもたらしたことから問題となりました。
最近ではその旺盛な食欲を活かし、水田の雑草を捕食させ生物農薬に使用する動きも出てきたのですが、イネを食べさせずに雑草だけ食べさせようとするのは非常に難易度が高いとされてます。無農薬の文字に惹かれてこの貝を水田に導入した結果、イネを台無しにされてしまう……という危険性も懸念されており、農水省ではこの貝をむやみに農薬代わりに利用しないよう呼びかけています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>